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豆知識 11 禁則

豆知識 11 禁則

音楽理論に関するブログやホームページを閲覧していて気付いたことなのですが…
和声や対位法には禁則が多く、それにがんじがらめになってしまい思い通りに音が書けない…
というような記述をいくつか見かけました。

音楽理論における「禁則」は様式と表裏一体の言葉です。
和声を例にして説明します。
和声(法)という音楽理論は、バロック・古典ロマンの音楽の様式を混声四部合唱の形体(四声体)で表現しようとしたものです。

連続(平行)1度や8度という禁則は、禁則というより前提と言った方がよいでしょう。
四声体という言葉の意味は、4つの異なる旋律を組み合わせる形体という意味です。
そのうちの2声部が1度や8度で進行した場合、それは声部が2つあるとは認識できず、1声部にしか聞こえてこないのですから、4声体ではなくなってしまいます。

連続(平行)5度という禁則は時代様式に由来するものです。
「豆知識 09 西洋音楽史の概観」で紹介した平行オルガヌムという音楽には、ほとんど連続5度で成り立っているものが多くあります。

また、近代以降の音楽では連続5度を積極的に取り入れた、平行和音という技法があります。
20070128201340.jpg

演奏→ravel_sonatine.mp3

これはM.ラヴェルのソナチネの冒頭です。
トレモロ状に分割された内声を声部様式にもどすと次のように分かりやすい楽譜になります。
20070128202112.jpg


これで分かるように、このピアノ曲の冒頭はほとんど連続8度と連続5度でできていることがわかります。

ではこれは禁則なのかというとそうではありません。
これは、この時代における様式なのであって、和声の視点でこの曲を観察すること自体が間違っているのです。

禁則に縛られて思うように音が書けないというのは、その様式がまだ身についていないということを意味しています。
禁則に縛られると考えるのではなく、禁則を通して音楽の様式を身につけるのだという、積極的な気持ちになって勉強を続けてください。
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Author:賀田麗太郎
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都内の音楽大学で作曲と音楽理論を教えています。
大学の講義で使用してきたノートを整理していますが、少しでも多くの方のお役に立てばと思い、その一部を公開することにしました。
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