吹奏楽編曲の基礎 09 打楽器の基礎的用法
打楽器にはきわめて多くの用法がありますが、ここでその全てを説明することは不可能ですので、最も基礎的な用法について説明します。
①リズム・アクセントの補強
ex.:高音域→トライアングル 中音域→小太鼓 低音域→大太鼓 アクセント→シンバル

原曲のバスのリズムを大太鼓が、内声のリズムを小太鼓が、高音部の合いの手のリズムをトライアングルが、3・4小節目のアクセントが求められる部分をシンバルが補強しています。
小太鼓には装飾音符が付いていますが、装飾音を付けるほうが一般的です。
②クレッシェンドの補強
ex.:ロール奏法

③合いの手
合いの手とは、旋律のフレーズの切れ目のリズムを潤色することなので、打楽器はよく利用されます。

④よごし
よごしとは、細かい音による装飾のことですから、やはり打楽器がよく活用されます。

以上の用法を利用して、例題の「Happy Birthday to You」と課題の「夏はきぬ」の6段スケッチに打楽器パートを加えてみました。
前回の6段スケッチの楽譜と併せてご覧ください。
Happy Birthday to You!

夏はきぬ

*楽譜作成ソフトの扱いが未熟なためか、打楽器の演奏ファイルを作ることができませんでした。今回は演奏なしでご容赦ください。
吹奏楽編曲の基礎 08 6段スケッチ
スケッチをどのくらいの段で書くか、特に決まりがあるわけではありません。
スーザのマーチからスケッチを作ってみました。
星条旗よ永遠なれ

演奏→
susa_1.mp3この部分は4段で書くことが出来ます。
1段目:旋律
2段目:内声
3段目:バス
4段目:吹き流し(下の方で説明します。)
海を越えた握手

演奏→
susa_2.mp3この部分には6段必要です。
1段目:旋律
2段目:内声
3段目:バス
4段目:吹き流し
5段目:1・2小節は旋律で、3・4小節は合の手(下のほうで説明します。)
6段目:オブリガート(下の方で説明します。)
このようにして多くの吹奏楽を観察してみると、6段あれば十分だということが分かります。
そこで、この編曲でも6段でスケッチを作成することにします。

演奏→
sketch_6.mp3この例はトゥッティ(全合奏)で演奏するために、多くの要素を入れた例です。
1段目:3段スケッチの1段目(旋律)を、旋律の編曲で身につけ技術で厚くしました。
オクターヴ重複、重音、三重音を組み合わせて作りました。
アウフタクとの属音はユニゾンだけになるのが一般的です。
2段目:3段スケッチの2段目そのままです。3和音で十分な内声の伴奏になります。
3段目:3段スケッチの3段目の1オクターヴ重複です。
1段目をたっぷり厚くしたので、バスも厚くしないとバランスが取れません。
これより下の段は新しく加えられた要素です。
4段目:俗に「吹流し」と呼ばれています。内声を和音で吹き流すことによって、響きが充実します。
5段目:「汚し(よごし)」と「合の手」が1段に書かれています。1・3・5・6・7・8小節が「汚し」、2・4小節が「合の手」です。汚しは細かい音符による装飾で、トリルやトレモロも汚しになります。
合の手は旋律のフレーズの切れ目をリズムで活性化するもので、民謡の合の手と同じ意味です。
6段目:「オブリガート」…主旋律とは違うリズムと音型で作られた対旋律です。主旋律とのリズムのずれに注目してください。
6段スケッチは、それぞれの段を演奏する楽器を決めて作ります。楽器を決めておかないと、スコアに移すときに、音域が合わなくなるなどのトラブルが起こってしまいます。
上の例を参考にして、「夏はきぬ」の3段スケッチをもとに6段スケッチを作りなさい。
実施例

演奏→
natsuwakinu6.mp3
吹奏楽編曲の基礎 07 3段スケッチ
ピアノ曲を吹奏楽に編曲する場合、なれた人は直接スコアーに記譜していきます。
しかし、途中で失敗に気付いた場合、それまで書いたスコアーを全部書き直すと大変手間がかかるので、必要な要素を書き出した楽譜(スケッチ)を作り、それをスコアーに写していくと失敗しないですみます。
3段スケッチは、本当のスケッチの骨格に当たるもので、実際には楽譜に書かずに頭の中で考えるものなのですが、説明のために楽譜を作りました。
次のピアノ曲の3段スケッチを作成しなさい。

演奏→
sketch.mp3平易なピアノ曲の多くは ①旋律 ②内声 ③バス の要素で作られています。
このうち右手で弾く①はそのまま書き移すのですが、②と③は左手で同時に引くように記譜されているので、これを2段に分割します。
②の内声は原曲では2音しかありませんが、1音増やして3音にしたほうが響きは充実します。
このとき、内声は和声学と同様、共通音の保留や限定進行音の処理に気を配ってください。
ソナチネの作曲02で指摘したように、3音密集型伴奏では、内声は和声の原則を無視していることが多いので、原曲の位置をそのまま利用すると不自然な進行になることがよくあります。
③のバスは、このままの高さでは吹奏楽では高すぎるので、1オクターヴ下げます。
テノールの最低音(ヘ音記号第2間のド)より下に配置すると、吹奏楽のバスらしい音域になります。

また、6小節目のバスだけ二分音符になっていますが、2拍目のフェルマータで音を止めたときにバス音がなくならないようにするための措置です。
練習課題
次のピアノ曲の3段スケッチを作りなさい。

演奏→
natsuwakinu.mp3実施例
吹奏楽編曲の基礎 06 旋律の編曲4
重音に更に1音加えて三重音にすると、旋律の厚みは一層豊かになります。
次のピアノ曲の旋律を三重音に編曲しなさい。

演奏①→
triple1.mp3演奏②→
triple2.mp3三重音は、重音に更に協和音程を1音加えるので、旋律の各音が三和音になります。
ここで注意しなければならないことは、旋律の非和声音の部分の処理です。
旋律の動きに合わせて三重音を平行させてしまうと、伴奏の音との不協和が強調されて、聞くに堪えない音になってしまいます。

演奏①→
09_triple1miss.mp3
演奏②→
09_triple2miss.mp3この非和声音の部分は、伴奏の音と不協和にならないよう、また三重音相互でも不協和にならないように慎重に音を選ばなければなりません。
そこで次のように原案を作り、ピアノで弾いて確かめてから楽器を選びます。

演奏①→
09_triple1ans.mp3
演奏②→
09_triple2ans.mp3原案ができた後は重音と同様同属楽器に割り振ります。

演奏①→
09_triple1ans2.mp3
演奏②→
09_triple2ans2.mp3②はホルン4本で三和音を編曲する場合の例です。
三和音がただの伴奏の場合は最低音を重複すると安定しますが、この例のように旋律を担っている場合は旋律部分を重複させます。
「吹奏楽編曲の基礎 02 移調楽器」で説明したように、ホルンは上から1・3・2・4と音を配列するとよく響きます。
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